連載「円山動物園 栄光への階段」

第18話

8月23日 残酷


先日、円山動物園の爬虫類館でニホンマムシにエサをあげるところを見せてもらった。今後のプロモーションのためである。
このマムシは生きたエサしか食べないため、月に2,3回のペースでハツカネズミを与えている。


警戒心の無いハツカネズミに近づくと、毒牙で一撃。
その後は、マムシは体力温存のため、動かず獲物が死ぬのを待つ。しばらくして毒が回ったハツカネズミは、引き攣りながら何故か水場に向かう。多くの場合、そこで息絶える。

するとゆっくり、マムシは二股に分かれた舌をチロチロ出して臭いを追跡し、時間をかけて獲物にたどりつく。臭いの追跡能力が高いので、野生の場合でも、獲物が遠くで息絶えてもちゃんと探し出すそうだ。


獲物を発見すると、まず頭を探す。飲み込むときは必ず頭からなのだ。そうして、ゆっくりと時間をかけて飲み込んでいく。
正味20分くらいはゆっくり観察できる。

丁度、何組かの親子が立ち止まって一緒に見ていた。
若いお母さんが食い入るように見つめている。
小さな子どもが「ねずみさん、かわいそう」と声をもらす。
若いお母さんが「しょうがないのよ」と諭す。

残酷に見えるかもしれないけど、命を奪って食べ生きるのは、僕らも同じなのだ。そのことをきちんと伝えたいと担当飼育員は言う。

しばらくして、その子のお父さんがやってきた。
「何見てんの?うわっ、これは子どもに見せられないな」

…と言ったと思ったら、お父さんもそこから動かなくなって、ずっと食い入るように見ていた。
私は、マムシの二週間ぶりの食事を食い入るように見ている若い親子を、うしろから眺めていた。

感じたものを持ち帰る動物園。

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◆◇◆小さな一歩◆◇◆

毎月行われている会議に「拡大おもてなし会議」というものがあります。
園内の4つの売店業者さんに加え、今年から券売業者、清掃業者、駐車場、遊園地、動物園協会、ボランティアなど園に関係のある人すべて集めて行われる拡大会議として、お客様へのサービスを考える場になっています。園によせられた投書を皆で持ち帰り、改善、回答を持ち寄る形式で、時には「売店のメシがまずい!」など容赦ない声も飛びますが、厳しい中にも皆で円山動物園を盛り上げようという思いでやっています。
おかげで、お互いに声をよく掛け合うようになりました。新しいことにチャレンジするときも、とても腰が軽くなったように思います。

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