| 連載「円山動物園 栄光への階段」 |
第32話
12月2日 ZOO LOHAS Fridays 最終夜
昨夜はLOHASフライデー第三夜でした。
札幌は雪。夕方から冷え込み、園路もうっすら凍結したため、管理スタッフ、飼育スタッフが自主的に園内に滑り止めの砂まきを始めて、お客様を迎え入れる体制を作っていました。
この日は「ガ○アの夜明け」撮影班も入って朝からバタバタでした。
トークセミナーでは、アメリカで猛禽類の野生復帰プログラムを研究して帰ってきたばかりの飼育員の話が印象的でした。
アメリカではカリフォルニアコンドルが絶滅寸前になり、なんと野生では9羽しかいない状態にまで減少したそうです。
そこで巨額の予算が投じられて、飼育下で繁殖し、飛行訓練を施して野生に復帰させているのですが、ここに一つ問題があります。せっかく野生に放鳥しても、野生下で繁殖しないのです。
そもそも、なぜ絶滅しそうになったか。それは生息域が破壊されているからです。つまり環境が壊れているからなんですね。動物を繁殖して野生に復帰させることはできても、環境が壊れたままだと結局エサを獲る川がないとか、重金属に汚染された水を飲んで死んでしまったりするのです。
その飼育員は言いました。
動物園が希少動物の繁殖や野生復帰をするというのは、一見華々しく意義のあることに見える。確かに意義はあるのだが、最も重要なことは、動物園という場所が多くの入園者に対して「環境を守る」という啓蒙活動をしっかりと続けていくことだ。
円山動物園も「北海道の野生動物復元プロジェクト」を発表して、オオワシやシマフクロウの放鳥を目指しています。
しかし、それは円山のスタンドプレーであってはなりません。多くの研究機関や釧路市動物園、環境省などと手を携えて行われるべき取り組みであり、同時に環境ムーブメントとして市民道民に発信していかなければなりません。
生態系の頂点にいる猛禽類たちは、そのピラミッドの下層にいる多様な小動物や植物、微生物、水を守らなければ絶滅してしまうのです。本当の意味での「野生動物復元」とはその生息域の環境を復元し守ることなのですね。
いつになく熱っぽくそのことを語ってくれた飼育員。
LOHAS Fridaysの最終夜を飾るに相応しい話で、私も身が引き締まる思いでした。
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