サービスについて考える

人や金の削減だけの改革ではなく、サービス改革に取り組む自治体も多いと思います。
そこで役所のサービスについて考えてみましょう。

「あなたが考える“行政サービス”って何ですか?」
例えば、住民票発行はサービスですか?市民の視点で見れば、これはコスト(手間)です。
自分を証明するための証明書を役所から買って、別の役所に持っていくわけですから、こんなもの自体廃止してほしいわけです。そう考えれば、お客様が負担しているコストをいかに少なくするかという視点で見なければいけませんが、役所がこれをサービスだと考えていたら全く噛み合いません。
例えば、広報広聴や情報公開はサービスですか?市民の視点で見れば、これは当然の権利(つまり前提)です。
本当はもっと情報がほしいし、もっと言いたい。でも役所が門戸を狭くしているのでよくわからないという不満を持っているかもしれない。
例えば、国の補助金で建てた市民利用施設はサービスですか?確かに喜んで利用している人はいるかもしれません。でも住民ニーズにもとづいて作られた施設だと言えるでしょうか。役所では、そういう場合、「これは施策として行っている」という言い方があります。不幸なのはあまり使われてない施設です。メンテのために無駄づかいを重ねなければならないからです。

役所の視点でサービスというものを考えている限り、根本的な改善改革はできません。
サービスというものを、より上流で分析しない限り、何が課題(そもそもどうあるべき)なのかを発見することはできないのです。
本当の問題はこういった視座の違いにあります。市民が考えるサービスと役所が考えるサービスの認識の違い。市民が必要としていることと、役所が良かれと思ってやっていることのミスマッチ。

企業で言う代金を税金として前払いでもらっているという感覚でサービス施策を分類すると、こんな感じでしょうか。
・ニーズや困りごとを解決(価値便益の提供)しているもの⇒プラス面
・早い、親切、わかりやすい、より便利、などの付加価値を提供しているもの⇒プラスα面
・市民に課しているコスト(手間)を低減すべきもの⇒マイナス面の低減
・余計なサービス、不要なサービス、代金と釣り合わないサービスの廃止・改善⇒瑕疵の回復
この中で本来のサービスと呼べるのは上の2つだけで、下の2つはプロダクツの品質管理です。

付加価値サービスを高めることで、本来は廃止すべきサービスを雲隠れさせるのは好ましいことではありません。
また、付加価値サービスは永続的な効果を発揮しません。
今は市場の期待値が低いため、付加価値の体感度が高いので(つまり新しいエクスペリエンスということ)、十分サービスであるといえます。ただし、これが当たり前になってくると、もうサービスではなくなる可能性もあるのです。
だからこそ我々は常に変化し続け、新たな付加価値を生み出し続けなければなりません。
企業はそうやって生き残りを図っているわけです。そして我々のサービスを評価する市民は、そういう民間のサービスと役所を比較して「良い・悪い」を決めているわけです。その意味では経営環境にも敏感でなければ(ベンチマークしなければ)良いサービス(良いエクスペリエンス)というのは生み出せないわけです。
単なる例ですが、おそらく窓口で名札をつけても、市民は「当たり前だ」と思うだけで評価はしてくれない。
でも役所の中ではそれを「サービスアップだ」と言ってしまうところにズレがあるのだと思います。

「役所は最大のサービス業である」
この言葉を本当に理解している人であれば、顧客志向への転換がいかに重要か、そして、役所が良かれと思ってやっているサービスの肥大化をいかに民主的に食い止めなければならないか、ご理解いただけるのではないかと思います。

(2004.1.25)

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