行政における組織論の誤解
組織とは
組織とは、ある目標・目的を達成するための効率的なチームである。
それは別の見方をすれば、ナレッジの蓄積方法であり、仕事のやり方である。
また、命令と評価の体系ともいえる。
行政における組織の優劣
行政では、ラインとスタッフが一般的な組織と言われるが、実際はそれら以外にプロジェクトチーム方式や会議方式などの仕事のやり方が存在する。また、近年になってLANの導入によりネットワークによる仕事のやり方が登場してきている。
しかし、ネットワークで仕事をすることは、まだ庁内で市民権を得ているとは言いがたいのが現状である。バーチャル組織とリアル組織は峻別され、予算面に大きな違いがあるほか、バーチャル組織はリアル組織の補完としてしか認識されていない。
組織はバーチャル
しかし、私は組織担当としての2年間で、いかなる組織も「組織とはバーチャル」であり、「組織は人である」という帰結を得ている。
ライン組織の根拠は「事務分掌規則」のみである。スタッフ組織にいたっては発令のみである。組織には実態がない。人が同じフロアで仕事をしているというだけで、別に鎖でつながれているわけでもなければ、「総務課」を目撃した人もいない(笑)
多くの企業で柔軟な組織のあり方が認められているように、実際、組織はすべてバーチャルであり、仕事のやり方の違いでしかない。
命令と評価が可能で、ナレッジが継承できれば、もはや組織はどのような形態でも構わないし、ITがそれを可能にしていると言えるだろう。もちろん、それぞれの組織の形態には得意・不得意があるが、それは優劣を示すものではないのである。
組織の仕事
既存組織内で何か新しいことをすると、「あなた個人が新しいことをやっても、組織の仕事にならなければ意味が無い。」と言われるに違いない。しかしこれはナレッジマネジメントの問題であって、個人と組織という組織論的な欠損ではない。個人がネットワーク型の仕事をすることを抑制してはならないし、組織が個人の能力を抑圧しては、大事な知的資産を使いきれていないということになる。
ライン組織は一般的に定型的な仕事を長く続けていくのには向いているが、新しい仕事を増やしたり、仕事を変化させていくには大きな抵抗を生む。しかし、私に言わせれば、そのような組織はむしろ外部化に最適な組織であり、積極的にオートメーション化するか委託してしまうほうがいいだろう。現行組織の枠組みを、そろそろ柔軟な形に見直していく時期にきていると思われる。
これからの時代に職員が担うべきなのは、むしろクリエイティヴな高付加価値化業務である。残念ながらそれはライン組織では生まれにくく、評価もされにくい。むしろ重要なのは人材戦略であり、人を活かすチーム作りである。
札幌市機構改革基準
札幌市が機構改革をする際に、ガイドラインとなるこの基準では、ネットワークをライン、スタッフ、プロジェクトに次ぐ第4の組織として、積極的に活用することを推奨している。私がこの基準作りにこだわった理由は、スピードと変化の求められる時代に、地力ある人材にもっとエンパワーメントを行い、庁内を揺さぶり動かしたかったためである。後年次、電子会議室を普及させていくにあたって、この基準の存在は非常に重要なバックボーンとなった。
できる&やりたい人に権限とチームを
札幌市でもこの春から庁内公募人事が始まり、IT戦略チームと、フィルムコミッションチームに若干名の係長と担当が配属される予定である。これは、これまでの行政の組織運営からすれば画期的な出来事であり、やる気と実力のある人材に権限とチームを与える結果となるに違いない。
(2002.3.10)